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バークリーに留学する日本人〜ヒットソングメイカーを目指す 亀井翔陽〜

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今回は、バークリー音楽大学に留学中のアーティスト、ソングライターの亀井翔陽(かめい しょうや)さんにインタビューをさせて頂きました。亀井さんが所属されているソング・ライティング学科のお話や、将来の目標など、詳しくお話を伺うことが出来ました。

(記事 仲田祐基)

亀井翔陽さんの経歴

幼少期に父親の影響を受けてギターを始め、その後サックスやピアノにも触れる
平成27年に甲陽音楽学院に入学
平成29年に甲陽卒業を経てバークリー音楽大学に入学
令和元年バークリー音大卒業(甲陽及びバークリー音大での授業を通して、主に作曲とロックギターを学ぶ)

「歌があると自分のオリジナリティーをより表現できる」

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所属されている学科、専攻楽器について教えてください。

学科はソング・ライティング・メジャー(ポピュラー音楽作曲学科)で、この夏で5セメスター*目になります。今学期(2019年8月現在)がバークリーでの最後の学期になりますね。楽器はエレキギターをしています。

*セメスター…学期のまとまりのこと。バークリーでは、春・夏・冬の3学期があり、人によって入学時期も違うため、セメスターで分けることが多い。

5セメスター(約2年)で学校を卒業されるということですが、通常より短い期間で卒業されるのですね。

日本に甲陽音楽院という音楽専門学校があるのですが、その学校はバークリーの提携校なんですね。僕は、バークリーに入学する前、その学校に2年間通っていたので、いくつかの授業の単位を、入学前に取得することができました

なるほど。それで卒業時期が早まっているのですね。ちなみに、どのような授業(単位)が先に取得できたのですか?

音楽系の科目、つまりハーモニー(和声)やイヤートレーニング(耳の訓練)などの音楽の基礎科目は全て単位が認められたと思います。ただ、リベラルアーツ(教養科目)の方は、ほとんど単位を認められなかったですね。あとは、楽器のレッスンを受ける授業の単位も認められなかったです。

バークリーの提携校といっても、全ての科目の単位が認められるわけではないんですね。それは意外でした。

僕自身も、バークリーに入学するまで、その情報は知らなかったですし、バークリーのオフィスや学部長に相談して分かったことです。もし、現在日本のバークリー提携校に通っていて、バークリーに留学することを考えている人がいるのであれば、「どの科目の単位が移行できて、どの科目の単位が移行できないのか」は事前に確認しておくと良いかもしれないですね。

それは大事なことですね。では、亀井さんがソング・ライティングを選択された理由を教えてください。

入学した当初は、プロフェッショナル・ミュージック*(以下プロミュージック)とソング・ライティングの2つの学科で迷っていて、どちらの学科も魅力的だったのですが、プロミュージックは、学科に入るための面接があったりして、手続きに時間がかかりそうだったので、結局ソング・ライティングを選びました。というのも、僕はバークリーを2年で卒業する予定だったので、入学してすぐに学科を選択しないといけなかったんですね。

あとは、ソング・ライティングを選んだ一番の理由は、自分のオリジナル曲を書きたかったということです。僕は、もともとギターから音楽を始めたのですが、ポップスのような歌が入っている音楽も好きだったんです。また、歌があると自分のオリジナリティーをより表現できると思いました。

*プロフェッショナル・ミュージック…自分の将来の音楽キャリアと照らし合わせて、好きにカリキュラムを組むことが出来る学科。様々な学科の授業を選択して受けることが出来ることが特徴。

なるほど。学科に入るのにも色々と手続きが必要なのですね。

そうですね。僕の場合は、入学した最初の週に学科を決定しないといけなかったので、特に時間がありませんでした。このことは、もしかすると提携校出身者だけかもしれませんが、早めに自分の専攻学科を決めないと、卒業までの時間が多くかかってしまうかもしれませんね。

「君なら良いソングライターになれるよ!」

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亀井さんが所属されている学科「ソング・ライティング」について、深くお伺いしたいのですが、具体的にどのようなこと勉強するのですか?

一言で表現すると“いかにヒットソングを効率よく作り出すか”だと思います。要は、「ヒットソング=売れる音楽」の作り方を勉強するといった感じです。

ソング・ライティングとよく比較される学科の1つに、コンテンポラリー・ライティング・アンド・プロダクション(通称CWP)学科がありますが、その学科との違いはありますか?

CWPは、作曲や編曲、そしてレコーディングやミキシングまで、音楽制作に関してのほぼ全てを勉強すると思うのですが、一方、ソング・ライティングは、歌詞やコード進行などをより深く学んで、歌の入った売れるための音楽を作るということに特化していることが違いだと思います。

なるほど。亀井さんは、今「歌の入った売れるための音楽を作るということに特化している」とおっしゃいましたが、ソング・ライティングでは、音楽制作のどの部分までを勉強されるのでしょうか?

学科としては、作曲をして、パソコンで曲のデモを作るところまでを勉強すると思います。アレンジの授業もあるんですが、CWPと比べるとそこまで深く勉強していない印象です。僕の場合は、アレンジも自分でやりたいタイプなので、自分の曲は自分でアレンジするのですが、友達は、曲を書いてデモを作った後は、プロデューサーに渡していました。

そのような違いがあるのですね。ちなみに、亀井さんは、ご自身のオリジナル曲を自身で編曲されるとのことですが、やはり、ソング・ライティングには歌手の人が多いのでしょうか?

おそらく、学科に所属する7割ぐらいの人は歌手だと思います。みんな、自分の曲は自分自身で歌いたいという人がほとんどです。学科の方としても、それを売りにしている部分があると思います。

つまり、将来的に「自分のオリジナル曲を作って、アーティストとして成功する」という目標を持っている人が多いということでしょうか?

基本的には、そういう人が多いかなという印象です。僕自身も、既存のアーティストに曲を提供して、仕事をするのも考えているのですが、今は自分自身を売っていくイメージですね。

では、ソング・ライティングの中で、亀井さん自身が印象に残っている授業や先生はいらっしゃいますか?

自分の中で良かったなと思っている授業は、「ソング・ライティング」という授業と、「アドバンス・ソングライティング」という授業です。「ソング・ライティング」には、レベル1とレベル2があるのですが、1では基本的にハーモニーやコード進行を、2では1で学んだことをよりカッコよくする方法を勉強します。

バークリーの必須科目の中には「ハーモニー」という授業もありますよね。その授業との違いはありますか?

バークリーのいわゆる“ハーモニー”の授業は、Jazzの内容が多いのですが、「ソング・ライティング」のハーモニーの授業は、PopsやR&B寄りというか…、曲をヒットさせるためのコード進行を学んで、それをいかに自分の曲に取り入れていくのかを目標にしていますね。

「アドバンス・ソングライティング」ではどのようなことを勉強されるのでしょうか?

アドバンス・ソングライティング」では、今まで学んだことを使って自分の曲の完成度をより高めていきます。具体的には、毎週授業の課題で1曲オリジナルを作るのですが、それを同じクラスの生徒の前で発表し、先生や生徒から意見やアドバイスをもらいます。僕自身に関しては、この授業を受けて自分に自信がつきました。というのも、僕はScarlet Keys(スキャーレット・キース)という先生の授業を取っていたのですが、その先生が僕の曲を聴いた時に「君なら良いソングライターになれるよ!」と言ってくれて、それがすごく自信につながったのを覚えています。

いずれにせよ、ソング・ライティング系の授業は、コード進行やメロディを自分で作曲することが多いので、それをあまりやったことがない人にとっては大変かもしれません。でもその分、より深くその部分を勉強できるので、歌手の人や歌の入った曲を理論的にしっかり作りたい・学びたいという人にはとてもオススメできる学科だと思います。

「歌ができると自分の強みを増やせるな」

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亀井さんの生い立ちについて教えてください。

はい。大体5歳ぐらいの時に、母親とヤマハのエレクトーン教室に行ったのをきっかけに、音楽を始めました。それで、8歳で初めてギターを手にしたと思います。というのも、父親がもともと音楽好きで、CDコレクターだったんですよ。家にはロックのCD、レッド・ツェッペリンローリング・ストーンズビートルズなどがあり、僕は小さい頃からそれを聴いて育ちました。その影響もあり、ギターに興味を持ったんだと思います。それから、音楽は趣味でやっていたんですけど、高校1年生ぐらいの時にミュージシャンを目指そうと思い始めました

それは何かきっかけがあったのですか?

ギター自体は、小学校の高学年から習い始めていたんですが、実際のきっかけとしては、スティーブ・ヴァイオジー・オズボーンなどの洋楽のアーティストを聴いて「カッコいい!」と思ったのがきっかけの1つですね。あとは、父親のすすめで、ピアノやサックスも習ってみたりはしたのですが、高校生ぐらいの時点で、「ギターのほうがカッコいい音が出せるし、ギターをやりたい!」と思うようになりました。

そこから、バークリーに入学されるまでは、どのような経緯があったのですか?

僕が高校生になって「本格的に音楽をしたい!」ということを父親に伝えた時に、父がバークリー音楽大学と甲陽音楽学院が提携しているということを調べてくれて、「ちゃんと音楽をするなら、こういう学校に入ったらいいんじゃないか?」とすすめてくれたんです。僕自身も、バークリーや甲陽に興味があったので、まずは甲陽に2年間通うことにしました。そこからバークリーに編入して、今に至るという感じです。

亀井さんは、バークリーではソング・ライティングを選択されていますよね。学科的には、ギターの技術を勉強するよりも、作曲を勉強することが多いと思うのですが、なにか「歌をやろう、曲を作ろう」と思われたきっかけは何かあるのでしょうか?

もとから歌は好きでしたし、80年90年代のJPOP、たとえば安全地帯サザンオールスターズなど、が好きではあったのですが、甲陽音楽院を卒業する前後から、歌を本格的にやってみたいと思うようになりました。特に自分の中で、大きなきっかけがあった訳ではないのですが、多くの人が、曲を聴く時に歌を最初に聴くと思うんですよ。そう思った時に「歌ができると自分の強みを増やせるな」と思ったのもありますね。

「多少合わない部分も出てくるんですよね」

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バークリーの親友との一枚

亀井さんの現在の学生生活についてお伺いしたいのですが、どのように今は生活されていますか?

現在は学校の寮ではなく、学校の近くで友達とルームシェアをしています。ただ、入学して1年間は寮に住んでいました。その時は、友達と3人で1つの部屋を共有していました。食事は、学校の中にカフェがあるので、基本的にそこで済ませて、家では学校の宿題をするか寝るかという生活をしていました。寮では、他の部屋がうるさいということは少しありましたが、ルームメイト同士のトラブルは全くなかったです。

では、なぜ学外に引っ越されようと思われたのですか?

1つの部屋を3人で共有しているので、スペースがどうしても限られるんですよ。もちろん、3人で生活しているので、プライベートなスペースが少なくなるのは分かるんですが、仲が良いルームメイトであっても多少合わない部分も出てくるんですよね。僕は、そこまで潔癖症ではないのですが、比較的きれい好きなので、ルームメイトがなにか汚したりすると、それを見るのが辛くなる部分もありました。そういったことを考えて、学校の外に引っ越すことを決めました。

なるほど。そういった理由で、学外に引っ越されたのですね。ちなみに、よく「バークリーの寮は値段が高い」と言われますが、その辺りを比較してどう思われますか?

寮の方が高いと思います。寮の支払いに、カフェの食費等も含まれるのですが、それを合わせたとしても、学外に住むよりも月5−7万円は高いと思います。僕の場合は、今の学外の家の方が、家賃が安いということもありますし、結構自炊もするので、その分は節約できているかなと思っています。

では、亀井さんは、「もしこれから留学してくる学生さんが、寮か学校外の家を選択する場合」、どちらの選択肢をおすすめされますか?

その人の育ってきた環境や性格によるので、一概には言えないですね。僕の場合は、その時アメリカが初めてだったので、家探しも大変ですし、寮の方がある程度守られている環境だと思って、寮の方を最初に選択しました。ただ、もし学校の近くに知り合いがいたり、自分自身がアメリカに慣れているのであれば、自分で家を探すのもありかもしれませんね。

「教養科目の授業はとても大変でした」

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-バークリーの友人たちと

亀井さんにとって、バークリーはどんな学校でしょうか?

音楽的にレベルの高い学校だと思います。あとは、いろんな国から学生が来ているので、多種多様な国の文化が、1つ学校の中で共存しているところは良い特徴だと思いますね。ただ、学費は正直高いです(笑)

学費は高いですよね(笑)ちなみに、バークリーに留学して良かったことは何かありますか?

自分の音楽性が磨かれたのは大きいですね。特に、ギターの技術や作曲能力に関してもしっかりと学ぶことができました。あとは、外国の音楽仲間を増やすことができたということも大きいです。ただ、アメリカという国の良さや悪さも知りましたね。

それはどのような部分で感じられたのですか?

良い部分だと、多様性の文化なので、新しいアイディアが生まれやすいですね。ただその一方で、治安が悪い地域があったり、ホームレスや生活で苦しんでいる人も多くいるという現実もありますね。

どの国でも問題はあると思いますが、アメリカは特に“貧困”の問題は大きいです。他に、何か苦労された部分や大変だったことはありますか?

個人的なことなのですが、教養科目の授業はとても大変でした。たとえば、歴史や数学、社会学などですね。バークリーには、ディプロマ(専門士)とディグリー(学位)という分け方があって、ディプロマで学校を卒業すると専門士の卒業資格しかもらえないのですが、ディグリーで卒業すると大学卒業資格の“学位”をもらえるんです。僕の場合は、日本の大学の学位を持っていなかったので、「学位取得をした方が、今後のために良いだろう」と思って、ディグリーを選択したのですが…(ディプロマは、教養科目がほとんど必要ありません)。日本語で聞いても難しそうな、歴史や心理学の授業を、英語で聞き、レポートを何枚も作成することはなかなか大変でした。また、入学した時に、英語力を判断するテストがあり、そのテストで、ある程度良い成績を取らないと、教養科目を取ることさえできない場合もあります。なので、もしバークリーでディグリーの資格を取るつもりがある人は、英語の勉強を、入学前にしっかりしておくことをおすすめします。

「自分は最後まで突っ走れる」

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-卒業式での一枚

亀井さんの今後の活動、目標について教えてください。

僕は、今年の8月に学校のカリキュラムを全て終了するのですが、その後は日本に帰国する予定です。帰国後しばらくは、神戸や大阪でライブ活動をして、自分のアーティスト活動の幅を広げていきたいと思っています。もし、それが順調に行けば、その活動を続けていきますし、上手く行かなければ、レコード会社の社員の仕事を探すつもりでいます。ただ、最初のうちはアーティストとして頑張って行きたいと思っています。

では、今後の将来に向けての大きな目標はありますか?

1つは、自分自身がアーティストとして成功することです。もう1つは、もし自分自身がアーティストでない場合、ソングライターとして曲をヒットさせることですね。

では、最後に留学を考えている人に一言お願いします!

留学した最初の時期は、辛いことはたくさんあると思います。たとえば、文化の違いや言語の違いですね。ただ、そのようなマイナスな事ばかりを考えずに、「自分は絶対にできる」とか「自分は最後まで突っ走れる」ということを、常に頭に入れて努力すれば、必ず良い事があるので、それを信じて頑張って欲しいと思います。あとは、外国に行くことになるので、その国の言語や文化はある程度勉強して行った方がいいかもしれません。

最後に、アメリカは自己責任の国なので、自分の身は自分で守る事。そしてもし、どうしても辛くなったり、分からないことがあれば、遠慮なく周りの人に助けを求めることも大事だと思います。

まとめ

ご自身がアーティストとしてありながらも、ソングライターとして、曲をヒットさせることを目標にされている亀井さん。将来を見据えて、自分のやるべきことをしっかりと勉強されている様子がとても伝わって来ました。帰国後の活動にも注目していきたいですね。

亀井さん、お忙しい中本当にありがとうございました♪

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